今週の金融ニュースまとめ 〈2025年9月20日版〉

Finance

今週の金融市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)が0.25%の利下げに踏み切り、主要株価指数がそろって史上最高値を更新するなど、金利政策の転換が大きな話題となりました。ダウ工業株30種平均は4万6315.27ドル、S&P500種株価指数は6664.36ポイント、ナスダック総合指数は2万2631.48ポイントと、そろって高値引けとなりました(出典:reuters.com)。一方で欧州や日本などは利下げを見送り、主要中央銀行間の政策スタンスの違いが際立ちました。米国の住宅株は金利低下を好感して急騰した一方、原油は景気減速懸念で値を下げ、資産クラスごとに動きが分かれました。

投資家の心理は楽観一色ではなく、株式ファンドからは約386億ドルもの巨額資金が流出するなど利益確定売りも目立ちました(出典:reuters.com)。英国では財政赤字の膨張を懸念してFTSE指数が週間ベースで下落し、日本では日銀が保有するETFや不動産投資信託(Jリート)の売却方針を打ち出し、株価が一時急落しました(出典:japantimes.co.jp)。加えて、ムーディーズがポーランドの格付け見通しを「ネガティブ」に変更するなど国別リスクも注目されました(出典:reuters.com)。

企業動向では、半導体大手NVIDIAがインテルに50億ドルを出資して約4%の株式を取得する大型提携が発表され、関連株が急騰しました(出典:reuters.com)。FRBの利下げを受けて企業の社債発行が活発化し、AT&Tなど9社が合計150億ドルを調達しました(出典:reuters.com)。一方で米政権はH-1Bビザに対し年10万ドルの新たな手数料を導入する方針を示し、テクノロジー産業に衝撃を与えました(出典:reuters.com)。世界的な資金の流れや政策の変化が複雑に絡み合い、先行きを見通すのが難しい一週間となりました。

それでは個別のニュースを見てみましょう。


米国株が史上最高値、FRBが利下げ再開

ニュース概要

米連邦準備制度理事会が政策金利を0.25ポイント引き下げ、2025年に入って初の利下げに踏み切りました。これを受けてダウ平均、S&P500、ナスダック総合指数がそろって史上最高値を更新し、週末にかけて世界の株式市場は上昇基調で取引を終えました(出典:reuters.com)。

ニュース解説

金利が下がると企業の資金調達コストが抑えられ、投資や消費が促されやすくなります。そのため株式市場では「これから経済が下支えされる」との期待が高まり株価が上昇しました。また、米国以外の中央銀行は様子見姿勢を維持しており、今後の金利差が為替や資本移動に影響を与える可能性もあります。利下げは景気減速の兆しがあることも意味するので、企業の業績見通しには注意が必要です。

キーワード

利下げ … 中央銀行が政策金利を下げること。企業や個人の借入金利も下がり、景気を刺激する狙いがある。
株価指数 … 株価の平均的な動きを示す指標。ダウ平均やS&P500などが代表的。

ニュースソース

Reuters:reuters.com


住宅関連株が急伸、低金利でローン負担軽減

ニュース概要

FRBの利下げを受け、米国の住宅ローン金利が6.39%と2024年10月以来の低水準に下がりました。住宅建設会社の株価をまとめたPHLX住宅指数は四半期ベースで約15%上昇し、D.R.ホートンなど建設大手の株も大幅に値上がりしました(出典:reuters.com)。

ニュース解説

住宅ローン金利が下がると家を買いやすくなり、住宅市場が活性化します。住宅建設会社や関連業種の利益増加が期待され、株価が上昇しました。ただし、金利が下がっても10年物国債利回りが高止まりすると住宅ローン金利は十分に下がらない可能性があり、今後の金利動向が鍵となります。

キーワード

住宅ローン金利 … 家を購入する際に借りるローンの金利。長期金利の影響を受ける。
PHLX住宅指数 … 米国の主要な住宅建設会社の株価をまとめた指数。

ニュースソース

Reuters:reuters.com


株式ファンドから巨額流出、利益確定売りが鮮明

ニュース概要

9月17日までの1週間で、世界の株式ファンドから約386億ドルの資金が流出しました。米国株ファンドからの流出額は約431億ドルと過去数年で最大規模で、代わりに債券ファンドなどに資金が向かいました(出典:reuters.com)。

ニュース解説

株価が大きく上昇すると、一部の投資家は利益を確定するために資金を引き揚げます。FRBの利下げが好感された一方、株式の割高感や先行き不透明感から資金が安全資産に移動したと考えられます。資金流出が続けば株式市場の上昇が一服する可能性があるため、投資家心理の変化に注意が必要です。

キーワード

ファンド流出 … 投資信託などから資金が引き出されること。
債券ファンド … 国債や社債など債券を主に運用する投資信託。

ニュースソース

Reuters:reuters.com


英国株は週ベースで下落、財政悪化に警戒

ニュース概要

ロンドン株式市場ではFTSE100指数が週間で0.12%下落、FTSE250指数も0.63%下落しました。英国政府の借入額が予想を上回り、財政への懸念が高まったことが背景です(出典:reuters.com)。

ニュース解説

政府債務が増えると、将来的な増税や支出削減が予想され、企業業績や経済成長に悪影響を及ぼす恐れがあります。英国では中央銀行が利下げを見送りましたが、財政運営への不安が投資家心理を冷やしました。金鉱株など一部の防衛的銘柄が堅調だった一方、景気敏感株は売られました。

キーワード

FTSE指数 … ロンドン証券取引所に上場する企業の株価を反映した指数。
財政赤字 … 政府の支出が税収を上回る状態。国債の発行増加につながる。

ニュースソース

Reuters:reuters.com


主要中央銀行の動き:米・カナダが利下げ、日本はETF売却へ

ニュース概要

FRBが利下げを再開した一方、カナダ銀行も政策金利を2.5%に引き下げました。英国と日本は金利を据え置きましたが、日銀は保有する上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(Jリート)を年約330億円5億円ずつ売却する計画を発表しました(出典:reuters.com)。日銀の動きについては、別途9月19日にETFとJリートを年間約3350億円分売却すると報じられ、発表直後に日経平均株価が1%以上下落し円高が進みました(出典:japantimes.co.jp)。

ニュース解説

各国の金融政策がばらつくと、為替市場や資本移動に大きな影響を与えます。日銀が資産縮小を始めるのは異例で、長期的には市場への支援が減少する可能性があります。投資家は金利差や政策の方向性の違いを見極めながらポートフォリオを調整する必要があります。

キーワード

ETF売却 … 中央銀行が保有する上場投資信託を売り市場への資金供給を縮小すること。
政策金利 … 中央銀行が定める短期金利の目安。経済全体の資金調達コストを左右する。

ニュースソース

Reuters:reuters.com
Japan Times:japantimes.co.jp


NVIDIAがインテルに50億ドル出資、4%株取得

ニュース概要

半導体大手NVIDIAはインテルに約50億ドルを投資し、約4%の株式を取得することで合意しました。両社はPCやデータセンター向けの新型チップを共同開発する予定で、報道後インテル株は23%急騰しました(出典:reuters.com)。

ニュース解説

NVIDIAはAI向け半導体で圧倒的な地位を持ち、インテルに資本参加することで互いの技術や生産能力を補完しようとしています。この提携はTSMCやAMDといった競合への脅威とも受け取られており、半導体業界の再編の兆しとも言えます。巨額投資は市場から期待と警戒の両方を集めました。

キーワード

半導体 … 電気信号を制御する電子部品。コンピュータやスマートフォンに不可欠。
出資比率 … 他社への投資額を株式の割合で示したもの。4%取得は比較的大きな持ち分。

ニュースソース

Reuters:reuters.com


社債発行が急増、利下げ後に企業の資金調達活発化

ニュース概要

FRBの利下げ翌日にAT&Tなど9社が合計150億ドル近い投資適格社債を発行しました。AT&Tが50億ドルを調達したほか、UBSやクレディ・アグリコルも大型起債を行い、社債スプレッドは過去最低水準の約75ベーシスポイント付近まで縮小しました(出典:reuters.com)。

ニュース解説

金利が下がると企業の借入コストが低下するため、社債発行による資金調達が増えます。投資家もより高い利回りを求めて社債を購入するため、発行条件が良くなりやすいのです。今回の発行ラッシュは、金利低下が実体経済や企業活動に即座に影響を与える好例と言えます。

キーワード

社債 … 企業が資金調達のために発行する債券。買い手は利息を受け取り、満期に元本が返済される。
スプレッド … 国債など安全資産と社債の利回り差。企業の信用リスクを示す。

ニュースソース

Reuters:reuters.com


ムーディーズがポーランドの見通しを「ネガティブ」に

ニュース概要

格付け会社ムーディーズは、財政支出の増大と政治的停滞を理由に、ポーランド国債の格付け見通しを「ネガティブ」に変更しました。長期信用格付け自体はA2に据え置きましたが、今後さらなる財政悪化があれば格下げの可能性も示唆しました(出典:reuters.com)。

ニュース解説

格付けが下がると国債の利回りが上がり、政府の借入コストが増えるため、財政運営に悪影響が出ます。ポーランドは国内需要やEU資金を背景に**3%**前後の成長を維持しているものの、政治的対立や国防費増加で支出が膨らんでいます。ムーディーズの警告は、財政改革の必要性を強調するものです。

キーワード

格付け見通し … 格付け会社が今後の格付け変更の方向性を示すもの。
国債利回り … 政府が発行する債券の利子率。信用力に応じて変動する。

ニュースソース

Reuters:reuters.com


原油価格が下落、景気減速への懸念強まる

ニュース概要

FRBの利下げにもかかわらず原油価格は下落し、ブレント先物は1バレル67.44ドル、WTI先物は63.57ドルに下がりました。米国内の単価住宅着工が減少したことや燃料在庫の増加が原因とされ、供給過剰と景気減速への不安が原油相場を押し下げました(出典:reuters.com)。

ニュース解説

金利が下がると一般的には経済活動が活発化し原油需要が増えるはずですが、今回の下落は景気回復に対する懸念が根強いことを示しています。ロシアとウクライナの情勢や主要産油国の供給政策も影響しており、エネルギー市場は複雑な要因で動いています。原油安はガソリン価格の低下を通じて消費者には追い風となる一方、産油国の財政には逆風です。

キーワード

WTI/ブレント … 世界で取引されている原油の代表的な種類。価格の指標となる。
在庫統計 … 原油や燃料の在庫量を示すデータ。供給過剰や需給バランスの判断材料となる。

ニュースソース

Reuters:reuters.com


米政権がH‑1Bビザに年10万ドルの手数料導入へ

ニュース概要

米トランプ政権は、IT企業が多く利用するH‑1Bビザについて、企業に対し1人当たり年10万ドルの手数料を課す方針を発表しました。これを受けてマイクロソフトやJPMorganなどがビザ保持者に米国外への渡航を控えるよう通知しました(出典:reuters.com)。

ニュース解説

H‑1Bビザは高度な技能を持つ外国人労働者を米国に呼び込む制度です。今回の高額な手数料は、企業にとって大きな負担となり、優秀な技術者の採用にブレーキをかける恐れがあります。米国のイノベーション力や経済成長にとってマイナスとなる可能性が指摘され、世界の人材流動にも影響を与えそうです。

キーワード

H‑1Bビザ … 米国企業が専門職の外国人を雇用するための一時労働ビザ。
移民政策 … 国への人の流入をどの程度認めるかを定めた政策。経済や社会に大きな影響を与える。

ニュースソース

Reuters:reuters.com
Reuters:reuters.com

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