今週の金融ニュースまとめ 〈2025年10月4日版〉

Finance

今週(2025年9月28日〜10月4日)の金融市場は、米国政府の予算制度停止がもたらす先行き不透明感と、それに反して好調な株価という複雑な動きが見られました。非農業部門雇用者数を含む重要な経済統計が公表されないなか、ダウ工業株平均やS&P500種、ナスダック総合指数は週初に最高値を更新しました(出典:investopedia.com)。投資家の関心は早くも将来の利下げに向かい、金先物価格は1オンス当たり約3,896ドルと過去最高を更新、ドル指数も弱含みとなりました(出典:reuters.com)。

通貨市場では米ドルが週間ベースで7月以来の大幅安となり、ユーロは1.17ドル台まで上昇しました(出典:reuters.com)。一方、日本では自民党総裁に財政緩和派の高市早苗氏が選出されるとの報道を受け、日経平均株価は過去最高水準に迫り、長期国債利回りは3.28%台まで上昇しました(出典:reuters.com)。このような政策動向の変化が金融市場に大きな影響を及ぼしています。

中央銀行の要人からは慎重な声が相次ぎました。米ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は、予期せぬ変化が今後も起こるとして、中央銀行は幅広い政策手段を整えておく必要があると語りました(出典:reuters.com)。一方、イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁は金融危機後に導入した規制を緩和する動きに警鐘を鳴らし、リスク把握のためのデータ収集が重要だと強調しました(出典:reuters.com)。企業動向では、米石油大手オキシデンタルの大型売却やAI分野での巨額資金調達の動きが注目を集めました(出典:reuters.com)(出典:reuters.com)。

それでは個別のニュースを見てみましょう。

米国政府閉鎖で雇用統計が未公表、株式市場は記録高で推移

ニュース概要

米国政府の一部閉鎖により非農業部門雇用統計などの重要指標が公表できなくなりましたが、投資家は金融緩和期待から株式を買い進めました。ダウ工業株30種平均とS&P500種指数は10月1日にそろって過去最高を更新し、ナスダック総合指数も上昇しました(出典:investopedia.com)。金先物価格は約3,896ドルと記録的な高さに達し、週後半には株価はややまちまちとなったものの、週単位では主要指数はいずれも上昇しました(出典:investopedia.com)。

ニュース解説

政府閉鎖により労働市場のデータがないまま金融政策を占うことが難しくなりましたが、投資家は「データが出ない=利上げが難しい」と解釈し、FRBが早ければ年末にも利下げに転じるとの見方を強めました(出典:reuters.com)。その結果、リスク資産の株式と安全資産の金が同時に買われるという珍しい状況になりました。金価格の急騰はインフレ懸念よりも米ドルの弱さが影響しており、ドル指数も低下しています(出典:reuters.com)。

キーワード

  • 政府閉鎖 … 米連邦政府の歳出法案が成立せず、非必須業務が停止する状態。
  • 金先物 … 金を将来の特定日に特定価格で売買する契約。安全資産として需要が高まると価格が上昇する。

ニュースソース

出典:investopedia.com


米ドル下落、ユーロ上昇―政府閉鎖と利下げ観測で

ニュース概要

米ドルは主要通貨に対して週間で大きく下落し、ドル指数は7月以来の安値となりました。ユーロは0.2%上昇して1ユーロ=1.174ドル付近となり、円も対ドルでやや強含みました(出典:reuters.com)。シカゴ連邦準備銀行や市場の予測モデルは失業率の上昇を示し、投資家はFRBの年内利下げ確率を約84%と織り込んでいます(出典:reuters.com)。

ニュース解説

米政府閉鎖が長期化すれば行政機能の停滞が経済に悪影響を与えると懸念されるため、ドル資産を持つ投資家はリスク回避で他通貨へ資金を移し始めました。ADPによる民間雇用者数が前月比で32,000人減少したことも利下げ期待を高めています(出典:reuters.com)。一方、ユーロは欧州経済の底堅さが評価されて買い戻され、今後の金融政策の方向性でドルとユーロの綱引きが続く見通しです。

キーワード

  • ドル指数 … 米ドルの価値を主要通貨バスケットに対して示す指数。
  • 利下げ … 中央銀行が政策金利を引き下げること。景気刺激や通貨安を狙う。

ニュースソース

出典:reuters.com


自民党総裁選で高市早苗氏が勝利、日経平均は史上最高へ

ニュース概要

日本の与党・自民党の総裁選で高市早苗氏が勝利し、首相就任が確実視されています。市場は同氏が財政拡張と金融緩和に積極的とみて、日経平均株価は45,769円50銭の史上最高値で引けるなど強含みとなり、30年物国債利回りは3.285%まで上昇しました(出典:reuters.com)。

ニュース解説

高市氏は財政出動を支持する“ハト派”とされ、追加の景気対策や日銀との協調が進むとの期待が投資家心理を支えました。長期国債利回りの上昇は、財政拡大が公債発行増につながり、将来の金利負担が高まるとの懸念を映しています(出典:reuters.com)。円安も進み、輸出企業の株価を押し上げる要因となっています。

キーワード

  • ハト派 … 金融政策や財政政策で緩和的な姿勢を取る立場。
  • 長期国債利回り … 満期までの期間が長い国債の利回り。経済の将来期待や財政状況を反映する。

ニュースソース

出典:reuters.com


米ニューヨーク連銀総裁、中央銀行は予期せぬ事態に備えるべきと指摘

ニュース概要

ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁は講演で、中央銀行は予期せぬショックに対応できる原則と戦略を持つべきだと述べました。量的緩和などかつて異例とされた政策手段が現在は標準的なツールになっているとも指摘し、インフレ期待を安定させる重要性を強調しました(出典:reuters.com)。

ニュース解説

パンデミックや地政学的リスクなど、近年は大きなショックが相次ぎました。ウィリアムズ総裁はこうした状況を踏まえ、金融政策は柔軟でなければならないと警鐘を鳴らしています(出典:reuters.com)。将来の景気後退や市場混乱に備えて、従来の枠にとらわれない政策の準備が求められることを意味しています。

キーワード

  • 量的緩和 … 中央銀行が市場から大量の国債などを買い入れ、長期金利を低下させる政策。
  • インフレ期待 … 将来の物価上昇率に対する市場や消費者の予想。これが安定すると金利も安定しやすい。

ニュースソース

出典:reuters.com


英中銀総裁、金融規制緩和への警戒示す

ニュース概要

イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁は、金融危機後に整備された厳格な規制を緩める動きに警鐘を鳴らしました。規制によって新しいリスク領域に関するデータ収集が可能になっているとし、金融システムの安定と監督の必要性を強調しました(出典:reuters.com)。

ニュース解説

2008年の金融危機以降、銀行の自己資本比率の強化やストレステストの導入など規制が強化されました。ベイリー総裁は、規制疲れによる緩和要求が高まる中で、危機の記憶が薄れると再びリスク管理が甘くなる危険があると指摘しています(出典:reuters.com)。規制の緩和が投資や成長を阻害しているとの批判に対し、金融安定は経済成長の前提であると強調しました。

キーワード

  • 金融規制 … 銀行や証券会社など金融機関の行動を監督・制限するルール。
  • 危機の記憶 … 過去の金融危機の経験。時間の経過とともに規律が緩むことがある。

ニュースソース

出典:reuters.com


オキシデンタル、化学部門をバークシャーに97億ドルで売却

ニュース概要

米石油大手オキシデンタル・ペトロリアムは、化学部門オキシケムをウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイに97億ドルで売却することで合意しました。アナダルコやクラウンロックの買収で膨らんだ負債を減らすのが狙いで、この取引により同社の負債残高は150億ドル以下に減少する見込みです(出典:reuters.com)。

ニュース解説

オキシデンタルは近年大型買収を重ねた結果、財務体質が悪化していました。化学部門の売却は非中核事業の切り離しによって資金を確保し、本業である油田開発への集中を図るためです(出典:reuters.com)。バークシャーはこれまで同社の優先株を保有しており、バフェット氏がオキシデンタルを支援していることも投資家の安心材料となっています。

キーワード

  • 負債縮小 … 企業が借金を減らし財務体質を改善すること。
  • 事業再編 … 企業が事業ポートフォリオを見直し、利益率の低い部門を売却するなどして効率化を図ること。

ニュースソース

出典:reuters.com


OpenAIのアルトマン氏、AIチップ資金調達でアジア・中東を歴訪

ニュース概要

米OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、アジアと中東でAIチップ製造と資金調達のための協議を進めています。台湾積体電路製造(TSMC)、鴻海精密工業、サムスン電子、SKハイニックスといった半導体メーカーと面談し、データセンター用メモリ供給の意向書を締結しました。また、UAEの投資家とも資金調達について協議すると報じられています(出典:reuters.com)。

ニュース解説

生成AIの急速な普及でAI用半導体の需要が急増しており、供給網の確保が企業の競争力に直結します。アルトマン氏は大手半導体企業と直接交渉し、米国外に生産拠点を分散させることで地政学リスクを軽減しようとしています(出典:reuters.com)。UAEなど中東の投資家は豊富な資金力を背景にAI産業への投資を積極化しており、今回のツアーは新たな資金源開拓とサプライチェーン確保の両面で重要です。

キーワード

  • AIチップ … 人工知能の学習や推論に特化した高性能半導体。
  • 資金調達 … 企業が事業資金を集める活動。出資や融資を引き受ける投資家を探すことが含まれる。

ニュースソース

出典:reuters.com


FICO、信用スコアを直接提供―3社連携に風穴

ニュース概要

米フェア・アイザック(FICO)は、自社の信用スコアを住宅ローン報告書を発行する「トライマージュ・レポート」業者に直接提供する新制度を発表しました。これにより、従来三大信用情報機関を経由していたスコア提供が不要となり、エクイファックスやトランスユニオンの株価は急落した一方、FICO株は急上昇しました(出典:investopedia.com)。

ニュース解説

住宅ローン申請者は三つの信用情報機関から統合されたレポートを提出する必要があります。FICOの新制度では、金融機関や情報提供会社が直接スコアを受け取れるため、手数料や手続きが簡素化され、競争の激しい住宅ローン市場に変革をもたらす可能性があります(出典:investopedia.com)。大手信用情報機関の立場が揺らぎ、消費者にとっては金利引き下げや審査迅速化につながる期待もあります。

キーワード

  • トライマージュレポート … エクイファックス、エクスペリアン、トランスユニオンの信用情報を統合したレポート。
  • 信用スコア … 個人のクレジット履歴に基づき、返済能力を数値化した指標。FICOスコアは米国で標準的に利用される。

ニュースソース

出典:investopedia.com

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