2026年3月30日(月)から4月3日(金)の1週間、金融市場は「中東地政学リスク」という1つのテーマに翻弄され続けました。米国・イスラエルによるイラン攻撃の長期化とホルムズ海峡封鎖観測が浮上し、原油価格は一時110ドルを超える急騰を見せました。
日経平均は週初に1500円超の急落を記録した後、停戦期待ニュースによる急反発と攻撃継続発言による再下落を繰り返し、極めて荒い値動きとなりました。3月31日(火)の終値は5万1063円と4日続落となりましたが、4月3日(木)には5万3123円(+660円)で週を終えました。
一方、国内では春闘第1次集計で賃上げ率5.26%が確定し、3年連続5%超という歴史的な賃上げが続いていることも確認されました。これは日銀の金融政策正常化を後押しする材料となっています。今週の主要ニュースを詳しく解説します。
① 米・イスラエルのイラン攻撃が長期化——ホルムズ海峡リスクが世界を揺さぶる
今週の市場を最も動かした要因は、米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃の長期化です。トランプ大統領は4月2日夜の演説で「今後2〜3週間はイランに対して激しい攻撃を加える」と明言。ホルムズ海峡封鎖が続く状況でも戦争を継続する姿勢を示し、市場に衝撃を与えました。週中にはイランとオマーンがホルムズ海峡航行監視の協定案を策定中との報道も伝わり、相場は一時的に急反発する場面も見られました。
📌 わかりやすく言うと?
ホルムズ海峡は原油タンカーの通り道で、日本の輸入原油の約9割がここを通ります。ここが封鎖されると日本のガソリン・電気代・食品など様々なものが値上がりするリスクがあります。まさに「世界の石油の蛇口」が脅かされている状況です。
② WTI原油が110ドル超——エネルギー高騰でインフレ懸念が再燃
中東情勢の緊迫化を受け、国際原油価格の指標であるWTI先物は週を通じて100〜113ドル台で推移しました。4月2日には一時113ドル台に達し、企業のエネルギーコスト増大への懸念が高まりました。原油高はインフレ再燃→FRB(米連邦準備制度)が利下げにくくなる→株価に下押し圧力、という連鎖を生じさせています。
📌 わかりやすく言うと?
原油が高くなると、ガソリン代だけでなく、食品・電気代・輸送コストなど様々なものが値上がりします。物価が上がると中央銀行はお金を借りるコストを高いまま維持せざるを得ず、株式市場にはマイナスの影響が出やすくなります。
③ 日経平均、週初急落から週末反発——5万円前後で荒い乱高下
日経平均は3月30日(月)に前週末比1500円超の急落で3万5000円台半ばへ急落。3月31日(火)は4日続落で終値5万1063円となりましたが、4月1日(水)にはトランプ大統領の停戦意思表明を受けて急反発(+2.91%)。4月3日(木)は「攻撃継続」演説を受けつつも短期筋の先物買いが入り、終値5万3123円(前日比+660円)で週を締めくくりました。週を通じて日経平均の「5万円前後のレンジ相場」が意識されています。
📌 わかりやすく言うと?
株価が1日で1000円以上も上下に動く状態は「ボラティリティが高い」と言います。こういう時は短期的な売買よりも、長期投資の視点を持つことが重要です。焦って売ったり買ったりすると損をしやすい局面です。
④ 米国株——停戦期待と戦争激化の間で乱高下
S&P500は3月31日(火)に+2.91%と大幅反発(トランプ大統領の停戦示唆を好感)した後、4月1日の国民向け演説での「攻撃継続」発言を受けて先物が急落。週を通じて6343〜6575ポイントのレンジで激しく動きました。テスラは1〜3月期の販売台数が市場予想を大きく下回り−5.42%と急落しました。一方でマグニフィセント7(大型ハイテク7社)は停戦期待局面で急反発を見せました。
📌 わかりやすく言うと?
米国株式市場はトランプ大統領の発言1つで大きく動く状況が続いています。「停戦か継戦か」という政治的なニュースが株価を左右する、不安定な相場環境です。
⑤ ドル円、159円台後半——「有事のドル買い」で円安継続
為替市場では、中東情勢の緊迫化を背景とした「有事のドル買い」が続き、ドル円は159円台後半で推移しました。4月2日には一時159.74円まで上昇。WTI原油先物が110ドルを超えて推移したことも、輸入コスト上昇という観点から円安圧力を強めています。片山財務相は「投機的な為替動向を注視し、あらゆる対応を取る」と市場に牽制しており、160円接近では政府・日銀による介入警戒感が高まっています。
📌 わかりやすく言うと?
円安が続くと輸入品(食品・エネルギー)の値段が上がります。「160円の壁」に近づくと政府が円を買ってドルを売る「為替介入」に踏み切る可能性があります。海外旅行を考えている方にとっても厳しい局面が続いています。
⑥ 2026年春闘、賃上げ率5.26%確定——3年連続5%超の歴史的水準
連合が3月23日に公表した2026年春闘第1次集計(1100組合)で、賃上げ率(加重平均)は5.26%となり、3年連続で5%超の高水準を維持しました。トヨタ自動車は6年連続の満額回答、電機・自動車など大手製造業を中心に高水準の回答が相次ぎました。中小労組も5.05%で2年連続5%超。ただし連合が目標とした「中小6%以上」には届いておらず、大企業と中小の格差是正が今後の課題となっています。
📌 わかりやすく言うと?
3年連続で給与が5%以上上がっているのは、バブル崩壊後の日本では珍しいことです。これは日銀が「物価と賃金がともに上がる経済」を目指して利上げを続ける根拠となり、預金金利の上昇にもつながっています。
⑦ 金(ゴールド)は4,500ドル台の高値圏——安全資産需要が継続
安全資産の代表格である金の先物価格は4,524ドル台で推移し、高値圏を維持しました。中東情勢の長期化やインフレ再燃懸念が金買いを継続的に支えています。2025年に64%上昇した金は、2026年に入っても強い需要が続いており、UBSは2026年末に4,900ドル到達を予測するなど、機関投資家の強気見通しも相次いでいます。
📌 わかりやすく言うと?
「有事の金」という言葉の通り、戦争や不安定な局面では金の価格が上がりやすいです。株や為替が激しく動く時期に金を保有していると、資産全体の変動を抑える効果が期待できます。
📊 今週の主要マーケットデータ(4月3日時点)
| 指標 | 水準 | 前週比 |
|---|---|---|
| 日経平均 | 53,123円 | 荒い値動き(週初急落→週末反発) |
| TOPIX | 3,663ポイント前後 | 軟調 |
| NYダウ | 46,504ドル前後 | −0.13%(4/3) |
| S&P500 | 6,575ポイント前後 | 乱高下 |
| ドル円 | 159円台後半 | 円安方向 |
| WTI原油 | 110〜113ドル台 | 急騰・高止まり |
| 金(先物) | 4,524ドル台 | 高値圏維持 |
| ビットコイン | 65,000〜75,000ドル | レンジ相場 |
| 日銀政策金利 | 0.75% | 据え置き |
| 2026年春闘賃上げ率 | 5.26% | 3年連続5%超確定 |
来週の注目ポイント
- 🔍 トランプ大統領の対イラン演説・停戦交渉の行方(最大の注目点)
- 🔍 米国・3月雇用統計(4月4日発表予定、グッドフライデーで欧米市場休場)
- 🔍 ホルムズ海峡再開の可否——原油価格の方向性を左右
- 🔍 日銀金融政策決定会合(4月の動向)
- 🔍 米国インフレ指標(CPI・PPI)の動向確認
- 🔍 春闘第2次・第3次集計(中小企業の賃上げ動向)
【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を意図するものではありません。投資の最終決定はご自身の判断で行い、損益についての責任は負いかねます。金融商品への投資にはリスクが伴います。最新の情報は各種公式サイトや金融機関でご確認ください。

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