今週(2026年4月6日〜10日)の金融市場は、米国・イスラエルとイランの「2週間停戦合意」という地政学的な大転換を軸に、原油価格の急落と株高が同時進行する劇的な一週間となりました。
ただし停戦の持続性への懸念からホルムズ海峡は依然ほぼ閉鎖状態が続いており、4月10日(金)には3月の米CPI(消費者物価指数)が前年比+3.3%と2024年5月以来の高水準を記録。地政学リスクとインフレのダブルパンチがFRBの金融政策の行方を一段と不透明にしています。
今週も7つの主要トピックをわかりやすく解説します。週末の振り返りと来週の相場展望にご活用ください。
- ① 米・イラン「2週間停戦」合意──原油急落、マーケットに安堵と警戒が交錯
- ② 米国3月CPI+3.3%──2024年5月以来の高水準、ガソリン急騰が主因
- ③ 日経平均が1,028円高──1カ月ぶり57,000円台回復、半導体・ファストリが牽引
- ④ ドル円が160円→157円→159円と激しく乱高下
- ⑤ FRB政策金利3.75%据え置き継続──利下げ観測は2026年中ほぼゼロに
- ⑥ ビットコインが7万ドルの大台を一時突破──停戦期待と機関投資家の買いが支援
- ⑦ 2026年春闘・第1次集計で賃上げ率5.26%──3年連続5%超、実質賃金がプラス転換
- 📊 今週の主要マーケットデータ(4月10日時点)
- 来週の注目ポイント
① 米・イラン「2週間停戦」合意──原油急落、マーケットに安堵と警戒が交錯
トランプ大統領は4月8日(水)、イランの民間インフラへの攻撃脅威を2週間延期すると発表し、「二重の停戦」と表現しました。パキスタンの仲介を経てイランはホルムズ海峡の一時再開に同意し、これを受けてブレント原油は一時15%以上急落して90ドル近辺へ。しかし直後からイスラエルがレバノンへの攻撃を継続したことで停戦の範囲と持続性に疑問が生じ、9〜10日にかけて再び98ドル超まで反発しました。週全体でWTIは約10〜12%の大幅下落となり、9カ月ぶりの週間最大下落率となりました。
📌 わかりやすく言うと?
中東で戦争が始まると、石油の輸送ルート(ホルムズ海峡)が脅かされるため原油価格が跳ね上がります。今週は「停戦」というニュースでその原油高が一気に解消されました。ただし停戦は2週間の暫定合意であり、実態はまだ不安定です。原油価格は来週以降も交渉の進展次第で大きく揺れる可能性があります。
② 米国3月CPI+3.3%──2024年5月以来の高水準、ガソリン急騰が主因
4月10日(金)に発表された米国3月CPI(消費者物価指数)は前年比+3.3%と、2024年5月以来の最高水準を記録しました。2月の+2.4%から大幅に上昇し、主因はイランとの戦争に関連したエネルギーコストの急騰(前年比+12.5%)、特にガソリンが+18.9%上昇したためです。一方でコアCPI(食料・エネルギーを除く)は前年比+2.6%と予想を下回り、インフレの構造的な悪化は限定的。CPI発表後は半導体株を中心に買い戻しが入り、情報技術セクターが+0.76%上昇しました。市場では「ガソリン主導の一時的な上昇」との見方もある一方、スタグフレーション(物価高×景気悪化)への懸念もくすぶっています。
📌 わかりやすく言うと?
CPIとは「物の値段がどのくらい上がっているか」を示す指標です。3%台に乗るということは、1年前より3%以上モノやサービスが高くなっているということ。ガソリンが急上昇したのが主な原因ですが、FRBはこのインフレ加速を見て「利下げを急ぐ必要はない」と判断しやすくなり、株式市場にとってはやや逆風となります。
③ 日経平均が1,028円高──1カ月ぶり57,000円台回復、半導体・ファストリが牽引
4月10日(金)の東京株式市場で日経平均株価は前日比1,028円79銭(+1.84%)高の56,924円11銭で大引け。取引時間中には3月3日以来約1カ月ぶりに57,000円台に乗せる場面もありました。米ハイテク株高を受けた半導体関連の上昇に加え、今期業績予想を上方修正したファーストリテイリングが上場来高値を更新し指数を力強く押し上げました。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が前週に続き連日最高値を更新したことも追い風となりました。一方、TOPIXは小幅続落の3,739ポイントで終了し、値下がり銘柄数が値上がりを大きく上回るなど、上昇の恩恵は大型グロース株に偏った「超モメンタム相場」の様相でした。
📌 わかりやすく言うと?
日経平均が1,000円以上も上がるのは珍しいことで、1日でかなりの大幅上昇です。ただし指数全体が上がったというより、ファーストリテイリング(ユニクロ)や半導体関連など一部の大型株が引っ張った形です。「1社で指数を何百円も動かした」という状況なので、すべての株が好調だったわけではありません。
④ ドル円が160円→157円→159円と激しく乱高下
今週のドル円相場は、中東情勢に翻弄されたボラティリティの高い1週間となりました。週初の4月7日(火)にはトランプ大統領のイランへの強硬姿勢を背景とした「有事のドル買い」で一時160.03円前後まで上昇。8日(水)に米・イランの停戦合意が伝わると「有事のドル買い」が急速に巻き戻され、一時157.89円前後まで下落しました。しかしその後イスラエルのレバノン攻撃継続で停戦への疑念が浮上し、原油価格の反発とともに9〜10日にかけて再び159円台へ回復しました。来週は4月13日(月)の植田日銀総裁発言と2月実質賃金のプラス転換を受けた追加利上げ観測が注目されます。
📌 わかりやすく言うと?
「有事のドル買い」とは、世界が不安定になると安全資産とされるドルが買われて円安になる動きのことです。今週は「戦争緊張→停戦合意→再度の懸念」という展開で、ドル円も160円→157円→159円と3日間で3円近く振れるという異例の乱高下でした。
⑤ FRB政策金利3.75%据え置き継続──利下げ観測は2026年中ほぼゼロに
3月FOMCでFRBは政策金利(FF金利)を3.75%で据え置きました。3月ドットプロットでは2026年末の政策金利見通しがメンバー間で2.6%〜3.6%と大きく分かれており、2026年内の利下げ実施に対する市場の確信は極めて低下しています。4月1日時点のフェドウォッチでも2026年中の利下げ確率はほぼゼロに近く、今週の3月CPI急上昇でさらにその見方が強まりました。パウエルFRB議長は5月に任期満了を迎え、後継体制への移行も市場の注目事項です。FRBが「インフレ抑制」と「景気への配慮」の間でどのような姿勢を見せるかが、今後のマーケットの方向性を左右します。
📌 わかりやすく言うと?
FRBの政策金利とは、銀行が短期でお金を貸し借りするときの基準金利です。金利が高いままだと住宅ローンや企業の借入コストが高くなり、消費や投資が冷え込む一方、インフレ抑制の効果があります。今は「まだインフレが高すぎて利下げできない」という状況が続いており、お金を借りてビジネスをしたい企業や個人にとっては引き続き厳しい環境です。
⑥ ビットコインが7万ドルの大台を一時突破──停戦期待と機関投資家の買いが支援
4月7日(火)、ビットコイン(BTC)は停戦協議への期待感を背景に一時7万ドルの大台を突破し、ここ半月で最高値を更新しました。年初の9万ドル台から安値6万ドルまで下落した後、2月下旬以降は上昇基調に転換。今年第1四半期に個人投資家が62,000BTCを売却する一方、機関投資家が69,000BTCを購入するという「ウィークハンドから機関投資家へのポジション移転」が進んでいます。CoinMarketCapによると週末時点のBTC/JPYは約1,160万円前後で推移しています。
📌 わかりやすく言うと?
ビットコインはかつて「個人の投機対象」というイメージが強かったですが、最近は年金基金や大手企業が「デジタル金」として保有するようになっています。個人が売って機関投資家が買う「ポジション移転」は、市場が成熟してきているサインとも言えます。7万ドルという心理的節目を超えられるかが当面の焦点です。
⑦ 2026年春闘・第1次集計で賃上げ率5.26%──3年連続5%超、実質賃金がプラス転換
連合がまとめた2026年春闘第1次集計(3月23日時点、1,100組合)の賃上げ率(加重平均)は5.26%で、3年連続で5%の高水準を維持しました。集中回答日(3月18日)にはトヨタが6年連続の満額回答を含む大手製造業中心に高水準の回答が相次ぎました。また2月の毎月勤労統計では実質賃金が2カ月連続でプラス圏に浮上。名目賃金と物価の「好循環」が確認されつつある中、日銀は4月13日(月)に植田総裁の発言を予定しており、今後の追加利上げ時期への手掛かりとして市場が注目しています。
📌 わかりやすく言うと?
「実質賃金プラス」とは、給料の上がり幅が物価の上昇を上回ったことを意味します。2023〜2024年は「賃金は上がったけど物価がもっと上がって生活が苦しくなった」という状況でしたが、ようやくそれが改善されてきています。これが続けば消費が活発になり、日本経済の本格回復につながります。
📊 今週の主要マーケットデータ(4月10日時点)
| 指標 | 数値・水準 | 前週・備考 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 56,924円 | +1,028円(+1.84%)1カ月ぶり57,000円台回復 |
| TOPIX | 3,739ポイント | 小幅続落(-0.04%) |
| NYダウ | 約46,584ドル(7日終値) | 週間小幅変動。停戦期待で一時上昇 |
| S&P500 | 約6,617〜6,835ドルの幅 | CPI後スタグフレーション懸念で上値重い |
| ドル/円 | 159円台(週末) | 週中に160円→157円→159円と乱高下 |
| WTI原油 | 約98ドル | 週間約10〜12%下落。停戦合意後に急落→反発 |
| 長期金利(日本・10年) | 約2.4%前後 | 日銀利上げ観測が下支え |
| 日銀政策金利 | 0.50%前後 | 据え置き継続。4/13植田総裁発言注目 |
| FRB政策金利(FF金利) | 3.75% | 3月FOMC据え置き。2026年内利下げ観測ほぼゼロ |
| ビットコイン(BTC) | 約68,000〜70,000ドル | 7日に7万ドル一時突破。停戦期待で変動 |
| 春闘賃上げ率(連合第1次集計) | 5.26% | 3年連続5%超。前年比0.20pt下回るも高水準維持 |
来週の注目ポイント
- 🔍 4月13日(月):植田日銀総裁発言 賃上げと物価の好循環を踏まえた追加利上げ時期への言及に注目
- 🔍 4月14日(火):米3月PPI(生産者物価指数) 川上でのインフレ動向を確認。CPIに続く高水準か注目
- 🔍 4月15日頃〜:主要米企業2026年Q1決算発表スタート JPモルガン、シティなど大手金融から本格化
- 🔍 引き続き:米・イラン停戦の持続性とホルムズ海峡再開 原油・為替の行方を左右する最大の地政学リスク
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資は自己責任のもと、必要に応じて専門家にご相談ください。掲載データは記事執筆時点のものであり、最新情報と異なる場合があります。

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